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物語を歩く謎解き散歩|魔女に奪われた街と、閉じ込められた子供たちの記憶(試作回) 実施レポート

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開催概要と位置づけ

2026年1月31日(土)、東京ミッドタウン・ガーデン〜檜町公園で「物語を歩く謎解き散歩|魔女に奪われた街と、閉じ込められた子供たちの記憶(試作回)」を開催しました。今回は“試作回”として、街歩きと謎解き、そしてAIを組み合わせた体験を、つなげーとのイベントとして成立させる形で検証する目的がありました。

企画の発想:街のすべてを“素材”として見る

シブミナでは過去にもAIをテーマに扱ってきましたが、今回は特に「目に見えるものすべてをマテリアル(素材)と捉え、想像力でオリジナルの作品へ転化する」発想に軸足を置きました。
イラストやデザインの制作は、完全な無から生み出すというより、何かのきっかけから受け取った印象を膨らませていくことが多いです。そのとき、対象が持つ感覚的な情報(本能や経験に根ざす“雰囲気”)と、認知・情報処理の働きが絡み合い、ひとつのイメージが立ち上がっていく――その感覚が、企画の根っこにあります。

従来は文章化や描画など、時間をかけた“転化”が中心でしたが、近年のAIの進展により、同様の転化をより軽い手触りで試せるようになりました。たとえば、道に落ちているイチョウの葉の色や形が喚起する世界観を引き継いだまま、別のイメージへ変換することで、「説明しにくいのに確かに残る印象」を保ったまま世界観を展開できる。そんな視点で街を歩けたら、日常は宝の山に見えるのではないか――そしてそれは、お金をかけずにQOLを上げていくシブミナの理念とも噛み合う、と考えました。

つなげーと向けの設計:交流が自然に生まれる協力型へ

一方で、つなげーとの企画として成立させるには「コミュニケーションが起こる設計」を組み込む必要があります。そこで今回は、逆算でルールを設計しました。事前に加工した画像を“手がかり”として配布し、参加者が街の中で元の場所を探す形式にすることで、複雑すぎない協力型の体験に整えています。さらに、最後に残った画像を各自が任意で再加工してみる余地も残し、「観察→発見→転化」の流れを直感的に触れられる構成を目指しました。

また、フォーマットとして、自治体や企業の担当者個人でも再現しやすい形を意識し、事前準備は「撮影→加工画像生成→シナリオ生成+α」程度に収まる設計思想も置きました。
ただ実際には、今回の試作は構想から準備にかなりの時間を費やし、世界観づくり、場所選定、撮影と加工、印刷とカットまで手間が積み上がったため、(本番回をやるかどうかは)正直まだ躊躇しています……という温度感です。

当日レビュー(※ここからネタバレ注意)

ここから先はネタバレを含む当日の流れです。本番回への参加を検討している方は、ここ以降は読まない前提でまとめています。

導入:世界観を“事前共有”して当日に自然接続する

前日に、導入メッセージと画像を送って世界観を共有しました。
当日は待ち合わせ場所のアマンド 六本木店に早めに到着し、現地写真を撮影して加工した「ここにいます」画像を送信。いきなり謎解きに投げ込むのではなく、案内の段階から今日の趣旨を少しずつ馴染ませる導線にしました。

ステージ1:照合が“交流のきっかけ”になる

自己紹介後、イベント全体が交流を趣旨としていることを共有し、イベントのチャット機能を使って導入ストーリーと画像を提示。歓談しながらミッドタウン・ガーデンへ向かいました。現地到着後、事前に用意したツール(カード類)を配布してルール説明を行い、主催は第1ステージと第2ステージの合間に移動して、参加者からの報告を待つ運用に切り替えました。

「加工画像と同じ場所を見つければ、魔女から子どもを救える」という設定のもと、ヒントを聞きに来る方、答え合わせに来る方が少しずつ現れます。全カード照合できた方にはステージクリアのシールを貼付し、協力型ゆえに“クリアした人が他の人を助ける”流れが生まれ、参加者同士の関わり方が自然に変化していきました。全員の照合が終わったところで、東京ミッドタウンでトイレ休憩を挟み、ここが心理的にも身体的にも「ほっと一息つける」区切りになりました。

ステージ2:当初案を調整し、作戦会議で密度を上げる

第2ステージでは、文字カードを投入して「他の人のカードの中から該当カードを特定し、その景色を照合する」という、より複雑でコミュニケーション密度が上がる設計も用意していました。
しかし前半が想定より時間を要したため、その仕組みは説明に留め、今回は不採択としました。その代わり、前半で得たノウハウを活かして、後半開始前に参加者同士で作戦会議をしてもらい、短時間でクリアする方法を話し合う形に切り替えました。これにより、交流の“型”そのものを変化させる狙いを維持しました。

結果として報告のテンポは上がり、カード数が増えたにも関わらず前半よりスムーズに進行し、予定時間に近い進捗まで詰められました。残り1名となった段階で寒さを訴える参加者が出たため、クリア済みの方には屋内へ移動してもらい、主催は最後の1名と合流して該当地点を特定・撮影、クリアシール貼付まで伴走しました。

ステージ3:チャット誘導の“見えなさ”が不安要因に

最後の1名を途中まで送り届けた後、「皆はあの辺りにいるので、着いたらイベントチャットをチェックするように伝えてください」と伝えて主催は離脱。ここからイベント終盤15分ほどを使う第3ステージに入ります。主催はゴール地点へ向かいながら、チャットにヒントと画像を送信し、「魔女の城で待ってます」と追伸して待機しました。

ただ、ここで想定外の不安が発生します。参加者の動きが一切見えず、チャットには既読がつくのにコメントがない。質問があれば対応するつもりでも、最後に送り届けた方が合流できたかも分からず、もし放置状態のまま流れ解散になったら後味が悪い――という不安が時間とともに増幅していきました。

終幕:全員合流で演出が成立し、達成感と安堵へ

終了予定時刻を少し過ぎた頃、人混みの陰から参加者の顔が見えた瞬間、思わず大きく手を振って呼び込む形になり、結果的に意図せず“最後の演出”にも繋がりました。全員が無事に戻ってきたため、証書と、「魔女の世界のお菓子が具現化した」という設定のお菓子を手渡し、感想を共有してイベントを終了しました。

その後、それぞれが帰路についたタイミングを見て、時間を空けてから最後のメッセージを送信しました。準備期間すべてに区切りがついた感覚があり、心からホッとできた瞬間でもありました。試作回という“謎の会”に、勇気を出してご参加いただいた皆様に、この場を借りて心よりお礼申し上げます。

余談:濃度の高い一日の締め

イベント後は、つなげーと公式主催のクリエイター交流会に参加し、新社屋で社長と終電が終わるまで飲む、という密度の高すぎる一日になりましたが、結果としてとても良い経験になりました。