松田奈緒子原作を野木亜紀子が脚本化した2016年のドラマ「重版出来！」で、坂口健太郎はコミック営業部員・小泉純を演じた。小泉は本来は情報誌の編集部員になることを希望していたが、出版社「興都館」の営業部に配属され、3年間異動願いを出し続けるなどやりがいを見いだせない立場である。

第2話では小泉に焦点が当たり、黒木華演じる黒沢心に同行して書店への営業回りを体験する場面が描かれる。物語は漫画「たんぽぽ鉄道」第3巻発売に向けた販売促進を軸に、営業の現場と苦悩が丁寧に描写される。

坂口の演技はうかない表情や控えめな話し方で小泉の自信のなさを表現し、新刊の部数決定会議でうまく話せず部長・岡(生瀬勝久)に説教される場面でも内面を示した。黒沢の積極性や周囲の態度に触れることで、小泉は徐々に心境の変化を迎え、仕事の楽しさを知ることで表情に活力が満ちていく。

セリフを発する前の僅かな間や微細な表情の変化で不安や迷いを表現し、活力を取り戻す差分で成長を印象づける演技ぶりが高く評価されている。