映画『風に立つライオン』は2015年に公開された作品である。発端は1987年にリリースされたさだまさしの同名楽曲で、ケニアで医療ボランティアに従事した実在の医師に感化されたことが制作背景である。

主演の大沢たかおは企画にも関わり、主演かつ企画として名を連ねている。共演には石原さとみ、萩原聖人、真木よう子らが出演し、それぞれ島田航一郎の人間像を際立たせる役割を果たす。

物語は医師・島田航一郎が同僚の青木克彦とともにナクルの長崎大学熱帯医学研究所に派遣されるところから始まる。研究所は診療施設でもあり、島田が子どもたちに優しく接し、手術に当たる姿が描かれる。

その後、ロキチョキオの赤十字病院で内戦で負傷した兵士らが運び込まれ、過酷な現実に直面する場面が続く。現地で出会う少年の「助けて」という叫びや、少年たちが麻薬で兵士にされる残酷な事実が島田の心情を揺さぶる。

台詞のない場面でも感情が伝わる演出が多く、マサイランドで焚き火を囲む夜に島田が涙を流す場面など、視覚的な描写で心情が表現されている。大沢たかおの熱演は作品に説得力を与え、石原さとみの演技は物語に柔らかさを添えている。