魚豊原作の劇場アニメ「ひゃくえむ。」の完成披露試写会が8月27日、東京・日経ホールで開催された。9月19日公開の本作は、小学生時代に出会ったトガシと小宮が100メートル走を通して関係を深める物語である。

登壇したのはトガシ役の松坂桃李、小宮役の染谷将太、財津役の内山昂輝、海棠役の津田健次郎、岩井澤健治監督であった。松坂は原作について「マンガなのに登場人物の息遣いや走ったときの足音、風を切る空気感まで感じられた」と語り、完成映像に強い感銘を受けたと述べた。

松坂はスパイクにマイクを仕込むなど音へのこだわりにも触れ、岩井澤監督は「アニメ本来の作り方というより、実写に近い方法で音を収録しました」と制作手法を明かした。染谷は100メートル走の短さが生む儚さと、実際の陸上選手の映像を3DCG化して用いた臨場感を挙げ、特に雨のシーンが印象的だったと語った。

内山は従来のスポーツアニメとは異なる映像表現に驚きを示した。津田は「なかなか振り切った表現が随所にある。それがまた、ほかのスポーツもので感じられるカタルシスとは違うカタルシスを生んでいるので、皆さん今日おいでになってよかったんじゃないかなと思います」と述べ、作品の独自性と観客への期待を強調した。