NHKの大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』の第31回が8月17日に放送され、主演の横浜流星が演じる蔦屋重三郎の周囲で江戸時代の様々な人物の思惑と動きが描かれた。今回は10代将軍・家治（眞島秀和）が体調を崩す中、江戸市中が洪水被害に見舞われる厳しい状況が中心となり、次期将軍の父である一橋治済（生田斗真）の存在感が際立った。治済は雷鳴が轟く中で「時が来た」と笑い、幕府内での強い影響力を見せ、家治に迫る形で物語を引き締めた。

蔦屋重三郎は当時の町民文化の発展と共に喜多川歌麿、葛飾北斎などの有名浮世絵師を世に送り出し、東洲斎写楽という謎多き人物を生み出したエンターテイメントの中心人物として描かれている。脚本は森下佳子、語りは綾瀬はるかが担当し、田沼意次役に渡辺謙、歌麿役には染谷将太、蔦重の妻てい役には橋本愛ら豪華キャストが揃う。

大洪水により江戸市中は被害を受け、多くの市民が困難な状況に陥る中、将軍・家治は市民の生活を優先し治水対策に尽力。体調不良のため側室の知保の方（高梨臨）は大崎（映美くらら）に滋養のある「醍醐」という牛乳由来の食品を準備させるなど、当時の生活文化の細かな描写も見られた。

視聴者にとっては歴史的背景と人物の緊張感ある人間ドラマが融合した回として高評価を得ており、生田斗真演じる治済の冷静かつ強烈なキャラクター造形が話題となっている。ドラマは江戸時代の文化人や権力者たちの複雑な思惑を背景に、今後の展開にも注目が集まる。