1980年代後半のファミコンゲーム『ドラえもん』は、人気RPGの形式を借りながら独自の世界観で親しまれている。ゲームは、勇気や元気といったパラメータでキャラクターの成長を表現し、プレイヤーが子どもでも理解しやすい設計となっている。特徴的なのは「ドラやき」システムで、これはMP（魔法ポイント）とゴールドの機能を兼ね備え、戦闘での勝利後に取得し、秘密道具の使用などに消費される。面白いのは、ドラミちゃんがプレイヤーをサポートし、セーブ時にドラやきを配るシステムで、これは1989年の『MOTHER』でのパパへの電話システムに似ている。

冒険の舞台は『魔界大冒険』から始まり、『海底鬼岩城』『竜の騎士』『日本誕生』へと広がる。難易度は比較的緩やかだが、進むにつれて敵も強くなるため、レベルを上げて慎重に進む必要がある。敵キャラクターは『ドラえもん』らしい可愛らしいデザインでありながら、原作に登場した「デビルモンキー」や「デモン」も敵として登場し、リアルな原作表現が再現されているのが特徴だ。特にネズミとの遭遇によりドラえもんが麻痺する演出は、原作ファンにも感心されている。

本作は当時の名作RPGの要素をドラえもんの世界に融合させ、血生臭さがなく子どもたちにも親しみやすいRPGとして仕上げられている点が評価されている。ファンにとっては、懐かしさと新鮮さを感じられる良作であり、レトロゲームファンやドラえもん好きにとっても楽しめる内容となっている。