宮崎駿監督の1988年のスタジオジブリ作品「となりのトトロ」を原作とした舞台版が、ロンドンの劇場街ウエストエンドで無期限のロングラン公演を展開し、高い評価を得ている。

この舞台は原作の世界観を忠実に再現し、50年代の日本を舞台に母親の入院を機に田舎へ引っ越してきた姉妹と、森に息づくトトロの交流を描く。劇中には日本語も織り交ぜられ、音楽は作曲家の久石譲がエグゼクティブ・プロデューサーを務めており、作品の魅力を一層引き立てている。

2022年10月から2023年3月までと、2023年11月から2024年3月にかけてロンドンのバービカン劇場で全公演が完売となり、計29万人を動員。2023年には英国で最も権威ある演劇賞「オリビエ賞」を最優秀作品賞を含む最多6部門で受賞し、さらにはウエストエンドのジリアン・リン劇場に移ってからも公演が続いている。

世界中の観客に愛されるこの舞台の成功は、国境や世代を超えた普遍的なテーマと原作への忠実さにあるとされている。舞台の中で描かれる温かい家族のきずなや、日常の小さな奇跡が、多くの人の心に深く響いている。日本の文化や心情を丁寧に伝えるこの舞台は、ジブリファンや演劇ファンのみならず、多様な層に支持されている。