筑波大病院は8月2日、最新の陽子線治療センターの新病棟を開所した。

従来の加速器を刷新し、3代目の新装置を導入。細い陽子ビームをがん病巣の形状に合わせてスキャンし照射する3Dプリンタのような技術を採用し、高精度な治療が可能となった。

陽子線治療は、がん細胞をピンポイントで攻撃し、周囲の正常組織へのダメージを最小限に抑える先進的な治療法である。

新病棟は4階建てで総投資額は約158億円。施設内には加速器や2つの治療室、検査室などが整備されている。

とくに小児がん患者の治療環境に配慮した設計が特徴で、壁には「ライオンキング」や「エルサ」、「アラジン」など人気ディズニーアニメキャラクターのカラフルなイラストが描かれている。

これは全国の大学病院では初のディズニーとのコラボレーションであり、子どもたちが治療に親しみを持てるよう工夫されている。

筑波大病院は1983年から陽子線治療の臨床研究を開始し、国内で最も歴史が長い医療機関。

年間500～550人のがん患者に陽子線治療を提供し、その約1割が小児患者である。

診療放射線技師の宮本俊男氏は「治療室に行きたい」と子どもたちに思ってもらうことが治療の第一歩になると話す。

ディズニーが日本の病院とコラボする事例は今回が5例目であり、患者に安心感と楽しみを提供する試みとして注目されている。