人気ゲームを原案とした歌舞伎『刀剣乱舞』が、２年前の新作が好評だったのに続き、「新作」の冠を外し、より深みを増して再演されている。尾上松也が企画・演出を手掛け、芝居と舞踊の二部構成で展開。

今回の物語は鎌倉幕府三代将軍・源実朝の暗殺を巡り、「公暁がなぜ実朝を討ったのか」という歴史的な謎に大胆な“if”を提案するもの。時間遡行軍が歴史を変えようとし、それを三日月宗近率いる刀剣男士が阻止する構図だ。

刀剣男士では鬼丸国綱、中村獅童による思慮深く重厚な演技、歌昇演じる実朝は政治に嫌気が差し和歌を心の支えとしている様子が繊細に表現されている。陽気な土佐弁の陸奥守吉行、ニヒルな加州清光ら新たなキャラクターの登場も見どころだ。

特に、膝丸と実朝の対話は感情の襞を巧みに織り込み、うちに秘めた複雑な思いが交錯する点が印象的で、歌舞伎伝統の代表作を彷彿とさせる大舞台となっている。

また、公暁が実朝暗殺に至る心理描写が深く掘り下げられ、鶴岡八幡宮の雪景色の中で繰り広げられる石段の立ち回りも迫力満点だ。

この舞台には歌舞伎初心者も楽しめる工夫がなされ、適度な緊張と緩和を２．５次元風の演出で実現。松也の二役演技も見応えがあり、歴史ファンのみならず幅広い層に支持されている。

刀剣乱舞の世界観を尊重しつつ、歌舞伎ならではの伝統美とドラマ性が融合したこの舞台は、推し活ユーザーにも新たな感動と発見をもたらすだろう。

公演の詳細やキャストの熱演は各地で話題となり、今後もファンの期待が高まっている。