映画『国宝』は、その繊細な描写と役者の熱演で観客から高い評価を受けている。主演の一人である横浜流星は、役に自身の素の部分を残さず徹底的に役作りを行い、今回も完璧主義の職人としての姿勢を貫いた。

彼が演じる俊介は、才能と魅力にあふれながらもどこかぎこちなさが残る若き歌舞伎役者の設定で、その微妙な精神状態の揺れを抑えた演技で表現し、静かな緊張感を画面に生み出した。

一方、歌舞伎の舞台裏もリアルに再現されており、衣装替えの繊細な動きや緻密な段取りが映し出されている。それらは、舞台を支える多くのスタッフの細やかな作業と呼吸が合わさって初めて成り立つ世界だと伝わってくる。

さらに、渡辺謙や田中泯といった大御所俳優たちも物語を重厚に彩っており、特に田中の怪演は国宝級の説得力を放っている。

この作品は、吉沢亮と横浜流星という若手トップ俳優の華やかな女形姿も見どころであり、その美しさと同時に舞台の緊迫感や物語の深みを感じられる。

観客はスクリーンを通じて歌舞伎の複雑さと、それに向き合う役者の苦悩や情熱に触れ、単なる鑑賞ではなく感情が共振する体験となっている。

この映画を通じて、横浜流星の多面的な演技力と舞台芸術の奥深さを改めて認識できるだろう。

推し活にも最適な作品として、俳優の新たな魅力を発見するチャンスと言える。