映画『国宝』が公開24日間で観客動員231万人、興行収入32億円を突破し、伝統芸能である歌舞伎作品として異例の大ヒットを記録している。主演の吉沢亮と横浜流星の熱演により、若い世代だけでなく歌舞伎に関心がなかった層にも火がつき、幅広い世代の会話の話題となっている。本作は歌舞伎界の伝統的な「血筋か芸か」という難題をテーマに、歌舞伎のブラックボックスの中身を鮮やかに描写している。主演の横浜流星が繊細な表現で演じた俊介は、才能と家柄の狭間で苦悩しながらも、「芸」の可能性を信じて懸命に生きる姿が観る者の心を打つ。また吉沢亮演じる喜久雄は、歌舞伎界での立場を失いながらも最後まで情熱を持ち続け、その生き様が深い共感を呼ぶ。劇中では歌舞伎舞踊の名作「娘道成寺」の特別上映も行われ、歌舞伎ファンの熱狂をさらに後押ししている。伝統の象徴である歌舞伎が、若手俳優の力強い演技とともに新たな魅力を発信し、ファン層拡大に貢献していることが本作の成功の大きな要因である。