藤井 風は楽曲の世界観をより深く伝える手段として、MVやライブでダンスを積極的に取り入れているアーティストだ。代表的な楽曲「きらり」では振り付けをしっかり練り上げたスタイリッシュなダンスが注目された。さらに「花」「燃えよ」「damn」などのMVでは、それぞれ異なるテーマ性に基づく多彩なダンス表現が展開されている。例えば「花」の演出では棺桶や遺影の登場する儀式的なダンスが、楽曲の死生観を象徴的に表しており、炎の周囲で踊る振り付けは魂の解放を感じさせる。一方、「燃えよ」の力強いダンスは〈明日なんか来ると思わずに燃えよ〉という歌詞を体現し、「damn」では〈we’ll just dancing away／from bullshits ahead〉というメッセージが表現され、踊ることでくだらないものから距離を置く衝動を爆発させている。藤井 風にとってダンスは単なる付加表現ではなく、楽曲の世界観やメッセージを直感的に伝える重要な手段である。この独特なパフォーマンススタイルはファンにとっても新たな楽しみ方を提供し、アーティストの魅力を引き立てている。